
顧客起点マーケティング・サークル
こんにちは。DXnoteです。
DXnoteでは、企業のDX推進に貢献するため、データ基盤(DWH/CDP)・マーケティング基盤(MA/接客など)の側面から情報発信をしていきます。
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日ごろから様々な企業の方と顧客起点のマーケティングについてお話するのですが、顧客と企業のエンゲージメント構造について考える時に共通のフレームワークがあることに気がつきました。今回はそのことについてお伝えできればと思います。わかりやすく、そのフレームワークを『顧客起点マーケティング・サークル』と呼ぶことにしています。以下の図がそれを表す図になります。
出典 著者名:小畑 陽一 (著), 菊池 達也 (著), 仁藤 玄 (著) 書名:ユーザー起点マーケティング実践ガイド 出版社:マイナビ出版社 出版年:2021 該当ページ:176
顧客と企業をつなげるエンゲージメントは・・・
▼顧客と企業の円をつなげるエンゲージメントの円▼
①の円(顧客)
顧客を中心に、輪を重ねるように外郭の円によって構造的に形成します。
②の円(顧客体験)
企業と顧客の「顧客接点」ここで顧客体験と行動データが生み出されます。
③の円(マーケティング基盤)
データを蓄積し、マーケティング施策を実行するために必要となる各種ツールをコントロールします。
④の円(戦略)
顧客中心設計のビジネスモデルなど、ここが戦略層となります。
これらの円の外には経営方針に影響のある外部環境が存在しますが、ここでは、そこには触れず、このフレームワークについての説明をしていきます。
|顧客(①の円)
円の中心は「顧客」になります。
CDPで収集するデータはカスタマーデータですから「顧客」を起点にしていますよね。事業構造の中心に据えるのが「顧客」ですから、事業とCDPは同一の設計思想なるのは自然なことです。
顧客理解を促進し、顧客に寄り添った施策を加速することを目的にCDPは存在します。自社のビジネスをこのフレームワークに置き換えたときに、顧客中心設計ができているか?改めて考えられる良いですね。
|顧客体験(②の円)
顧客の外枠に「顧客体験」の円が来ます。
ここは企業と顧客の交わる場である「顧客接点」を示します。オフライン・オンラインにおける顧客との接点チャネルであり、顧客に価値提供する「現場」でもあります。
最近では、多くの企業がアプリを顧客接点のチャネルとして活用していますよね。顧客に特別なブランド体験を提供するためにスマホアプリが有用であることを実感している現れではないでしょうか?企業側はアプリを顧客にとっての「体験増幅装置」として提供し、自分達にとっては顧客の「データ収集装置」として利用しています。
|マーケティング基盤(③の円)
顧客体験の外枠は「マーケティング基盤」の円となります。
ここにCDPが存在し、インプットとアウトプットの概念が存在します。
優れた顧客体験を提供することで得られるフィードバックデータ(対価)がインプットとなります。CDPにデータを蓄積することで顧客理解を深め、施策を進化させることが可能となります。
各種マーケティングツールや現場のスタッフが顧客に対して接客などの施策(体験提供)を届けることがアウトプットとなります。この施策が新たなフィードバックデータを生み出します。データのインプットと施策のアウトプットを繰り返すことでマーケティング基盤による「価値提供ループ」が生まれます。マーケティング基盤は「価値提供ループ」が正常に回転するように設計し、正しく運用することが重要です。CDPはこのメカニズムを実行する司令塔となります。
|戦略(④の円)
事業のビジネスモデルがこの円の外枠を固めます。とくに既存顧客に焦点を当てるCRM戦略こそ、CDP活用の真骨頂です。CDPは顧客の行動特性や興味関心といったインサイトを可視化します。インサイトが分析できれば、データを根拠にしてエンゲージメントを高める戦略立案が可能となります。
具体的には、顧客理解を伴った事業やサービスの新規企画、CRMの施策立案を実現できます。
顧客理解を深めるためにはデータサイエンティストやアナリストといったビッグデータを操る人材は必要不可欠です。しかし、データの専門家だけでは顧客体験を設計できません。現場を知り、顧客を知る営業担当者やマーケターが一体となったチーム編成も必要となります。
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✏この記事の著者✏
小畑 陽一(オバタ ヨウイチ)
株式会社UNCOVER TRUTH 取締役 COO
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music.jpやルナルナを手がけるエムティーアイ社出身。ソリューション事業責任者として、大手企業向けモバイルサイト構築ソリューションで、国内ナンバーワンのASPサービスを展開。2014年、取締役として株式会UNCOVER TRUTHの取締役COOとして経営に参加。経営・事業戦略とマーケティングを管掌。ad:tech Tokyo / Kyushu、宣伝会議、MarkeZine、Web担当者フォーラムなど講演活動多数。
著書:『ユーザー起点マーケティング実践ガイド』(CDP専門書籍)